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IMGP2980.JPG

今のところ何とか健康に動いてるMacBookです。
むしろ起動が早くなった気も。不思議。

出発を書いてそうそう頓挫した夏休み日記。
さて、飛行機に乗って向かったのは熊本。
ここは僕が3歳〜6歳を過ごした街。
記憶はあまりないけど、やっぱり何となく懐かしさを感じる。

目的地は阿蘇、孤風院というところ。
孤風院とは、建築家木島安史の元自邸。
といっても、それは弧風院の顔の一つに過ぎない。
もともとは1908年に熊本大学の講堂として建てられたのだけど、
1974年にその取り壊しが決定した際にこれを木島安史が買い取り、
住居兼アトリエとして阿蘇に移築した。
その後木島安史は1992年に亡くなり、
孤風院は、「弧風院の会」によって管理されながら、
有志や学生らによってワークショップや交流の場として活用され続けている。
これまでに、伊藤豊雄や石山修武らのワークショップによる内外補修・断熱化、
古谷誠章を審査員長としたコンペによる資材庫新設、
プロスペクターの3人が関わった足湯プロジェクト、などなど、
100年前の建設当時から綿々と作り続けられ使い続けられているという、
とても希有な建築だ。
(図面等はINAX Renovation Forumのアーカイブ参照)

で、ここで僕は講演を行った。
メインのお話は、僕が学部卒の年に友人らと設計/工事を行った、
京都のカレンハウスという小さなお店について。
そしてそれ以降の僕の活動について。
IMGP2704.JPG
現在のカレンハウス

それについてはまたいずれ書くとして、
今日は孤風院についてもう少し。

この建物の存在とここでの活動については、
木島安史著『「孤風院」白書』等でいくらか把握していた。
でもイメージが今一つ像を結ばない感があった。
なぜかというときっと、孤風院という存在を構成している主体が、
人の営みや関係性自体なような気がしていたからだ。もはや建物だとか空間云々じゃなくて。
そんなイメージで足を踏み入れたのだけれど、
実際はというと、
僕が思っていたその主体は、なんだか圧倒的なパワーで、孤風院という空間として還元されていた。
100年前の建材やディテールが湛える重みもそう、
過酷な阿蘇の自然と対峙してきた痕跡もそう、
そして、たくさんの人の思いや手の匂いが、滲み出ている。
”生きている感”が漲っている。
歴史的建造物の保存再生へのメッセージを強烈に発信しているわけではないし、
建築家のデザイン主張もなければ、これみよがしに愛情手間ヒマかけてヨシヨシされてるわけでもない。
どこか淡々と、粛々と、訥々としている。
で、この印象はなんだろうとその後数日考えていたのだけれど、
きっとこれは、「街」に近いのだ。

孤風院はもしかしたらそのうち、当初の部材や形を失うかもしれない、移り変わりの中で。
長い長い目で見ると移築当時を知る人は少なくなっていくだろう。
だけど、系譜や痕跡が背骨になって、年輪みたいに積層されていく。
それはまさに街のあり方で、
その時々の政治経済や周囲との関係性や人々の営みの中で新陳代謝をしていくわけだけど、
地形や道路といった都市の構造は変わらない。

そういう感覚で、孤風院を訪れた体験を思い起こすと、
小さな街をふらっと訪ねてその文化の中に一時身を置いて生活をする、
そんな時間だった気がする。 

孤風院を巡る言説についていくつか。
・INAX Renovation Forum 髙木淳二×木島千嘉×倉方俊輔×新堀学
・建築史家 倉方俊輔さんのブログ『建築浴のすすめ』より


孤風院のある、阿蘇の山。見えるのは外輪山。
IMGP2981.JPG

熊本城。黒い天守閣もいいけど、この石垣がかっこいい。
IMGP2947.JPG

熊本市内、古町の河原町という小さな一角。
IMGP2922.JPG
古町は戦後までは熊本の中心繁華街で、河原町には呉服屋さんがまとまっていた。
一階を店舗、二階を住居として。
その後街の中心は移動して、数十年、人がいない状態だった。
そこに最近小さなバーやアーチストが集まって、面白い光景になっている。
不動産開発がすぐ近くまで迫っているけど、残ってほしい。
ここ、とても面白いので、興味ある人は河原町文化開発研究所のHPへ。

その他、古町&新町の街づくりにがんばるおじさん方の元気な話を聞いたり、
地下で用水に繋がる古民家に入ったり、前川國男の現代美術館を見たり、
かなりおなかいっぱいの旅になった。
二泊して、電車乗り継ぎまくって金沢へ。。。
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無題
古町はワクワクな感じだねぇ
片町もいずれそーなたり
ゆまる 2009/09/01(Tue)16:58:38 EDIT
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プロフィール
HN:
寺崎 悠真
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1978/08/03
職業:
建築設計監理
趣味:
散歩
自己紹介:
一級建築士
寺崎悠真一級建築士事務所 代表
NPO地域再創生プログラム会員
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